コンセプトと「やりたいこと」の言語化がしっかりできていたおかげで、空間デザインについては初期提案から大きな変更がまったくなく、工事も順調に進みました。
最初にしっかりとコンセプトワークをしておくと、工事中に迷ったり心配事が増えても、目指す方向性が明確なので、余計な時間や労力を使わずにスムーズに進めらるのでホントにオススメです。
今回のメゾネット型賃貸区画のゾーニング(空間の使い方)は以下のようにデザインしました:
地下フロア:集中とクリエイティビティの場
静かな環境を活かし、集中してクリエイティブな業務に取り組むための空間です。各スタッフのデスクはゆったりとしたスペースを確保。デスクは壁際に配置し、中央にはカウンターデスクを設けました。
カウンターデスクは即興でスタンディングミーティングをしたり、デザイン案を広げたり、切ったり貼ったりといったアナログ作業をするのに便利です。ホチキスやカッター、ガムテープといった事務用品はカウンター下の収納にまとめ、すぐに取り出せるようになっています。
地上フロア:コミュニケーションを生む柔軟な場
地上フロアは、主にコミュニケーションを軸とした柔軟な使い方ができるようにデザインしました。正方形のテーブルを採用し、必要に応じてくっつけたり離したりしてレイアウトを自由に変更できます。
ミニキッチンの周囲はブリックタイルでDIYカスタムし、益田工房の大らかな雰囲気がすごく良く現れていて大好きです。天井にはライティングダクトを設置して光源を自由に調整できるようにしています。
このフロアで特に目を引くのはオリジナルでデザインしたキッチンカウンターですね。2×4材を使った骨組みで、空間の中心にしっくり馴染みながら、コミュニケーションのハブとしての役割を果たしてくれます。
1階の奥には、もともとユニットバスだった小さなスペースを利用して、個室を設置してます。オンライン会議が重なるケースを想定し、地下、1階、個室で分離して使える仕組みにしました。
スタッフ全員、地下の自席以外で仕事ができるルールも採用されました。カウンターやテーブル席、さらには隣接する緑道公園での作業もOKという自由度の高さが魅力です!(本当に羨ましい環境です…!)
フリーアドレスではなくて「Activity Based Working」
こういった仕組みを含めたデザインのワークスペースは「フリーアドレス」ではなく、Activity Based Working(ABW)と呼ばれる手法です。
私自身、独立する前に海外のTech企業のワークスペースを視察したり、東京大学と共同研究を行って効果測定をしたり、大企業のワークスペースコンサルを数多く企画デザインした経験があります。
その中でずっと大切にし続けているのは、「人の感情を中心に置いたデザイン」です。仕事場が「自分らしく過ごせる場所」になったらいいなと思っています。喜びや楽しさを感じたり、ストレスなくコミュニケーションが取れる場所を、当事者のみなさんと対話しながら一緒につくり続けることが私が貢献できる広い意味でのデザインだと思ってます。
益田工房東京のオフィスは、全員で考え、全員でつくり、全員で魅力を伝え、変化できる空間としてスタートしました。この場所がこれからさらにどのように進化していくのか、とても楽しみです!